友だち同士の日本語なら、何とでもなるかもしれません。けれど、子どもが少しずつ大人の世界に参加するようになると、やはりキチンとした言葉遣いを要求されるようになります。
先日、留学関係のある集まりで、留学経験者の女性が、これから留学する子どもたちに向けて話をしてくれました。その女性もおそらくまだ10代。英語はもちろんペラペラです。
その方の挨拶、「20××年に〇〇に派遣させていただいた△△でございます」と始まりました。あれ? と思ったのは、私だけではなかったようです。それほど難しい言い回しではないのでもうお分かりとは思いますが、正しくは、「派遣していただいた」ですね。
文法的に言うと、「派遣する」という動詞の使役形「派遣させる」を丁寧に言うと「派遣させていただく」になります。
まぁ、そこまではいいのですが、少し考えているうちに私は混乱してきてしまいました。「休む→休ませる→休ませていただく」「待つ→待たせる→待たせていただく」を見ればわかるように、使役動詞は「いただく」を付けると、自分の動作を丁寧に言うときの表現になります。同様に、「コピーする→コピーさせる→コピーさせていただく」「行く→行かせる→行かせていただく」と。ところが、「派遣する→派遣させる→派遣させていただく」の場合は、どうしておかしくなってしまうのでしょうか?
落ち着いてちょっと考えればわかりますよね! いや、考えるまでもなくどうしてこのようなことが問題になるのかさえ理解できない方もいらっしゃるかもしれません。
それにしても、日本語はやっかいな言語だなぁと、折に触れて思います。私はときどきどうでもいいところで躓いてしまいますね。