すごい話だと思う。が、よく分かる気がする。食の大切さ──私もこのところ身に染みて思う。西洋の料理、アロマの知識、そして中国の薬膳を学んだ著者。自分自身の身体において、それら学んだ理論はまさに具体的なイメージを彼女の中で結んでいる。
さらに、彼女の料理アトリエを訪れる人たちに、さまざまな料理を提供することで、彼女のその理論やイメージはより鍛えられていく。
もちろん、都合の悪い事例は書かれていないのかもしれない。しかし、食に関するこのような知識は、私たちの日常知からあまりにも欠落している。西洋医療、製薬産業、食品産業など、大きなものたちによって虐げられてきた領域。私たち庶民が大切にしないと、社会的に可視化されない知識たち。
そういう意味で、ときどきはこういう本に目を通して、自分にとって必要なもの・知識はなんなのかということに思いを馳せるのは大切なことだろう。