世の中にはいろんな考え方がある、ということを、子どもにこそもっと積極的に伝えた方がいいのではないかとずっと思っている。パースペクティブ=ディシプリン=理論を伝えるということだ。経済学には経済学の考え方があり、社会学には社会学の、心理学には心理学の考え方がある。物事は、いろんな風に考えていいのだ、ということ。これは、精神の自由を子どもに伝えることにもなる。(もちろん、理系の領域にも発展させることができたらなおいいと思う)
同時に、もちろん、それにまつわるエピソード的な知識も伝授できればいいだろう。
それで、具体的には、作文教室で使えるようなものを考えている。
だから、パースペクティブの説明をしたあとで、では、このパースペクティブを使って何かを見てみよう、というようにもっていって、作文を書いてもらう、というようなもの。
たとえば、
例)
ケーキが3つありました。兄と弟はどちらもたくさん食べたいと思いました。ところが、弟がどうしても2つ食べると言ってききません。兄は、兄なので、残りのケーキを弟に譲ることにしました。兄1つ、弟2つ、ケーキを食べました。弟は、ケーキを1つ得をし、兄は1つ損をしました。けれど、兄はほんとうに損をしたのでしょうか?もし、兄が得をしたとしたら、どんなことでしょうか?
→ けんかにならなかった。弟と仲良くできた、など。
→ 合理性の話にもっていく。経済合理性、感情合理性、あとはどんな合理性があるかな?
→ 「得」と「損」を使って、自分の経験を入れながら、作文を書いてもらう。
といったアプローチもありかな。
ただ、実践的に「例」を積み上げていくことはできるかもしれないが、私一人の力量ではなかなかむつかしいように感じている。
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もう一つ考えているものがある。
「人権作文」を書くための、中学生向け冊子だ。
「人権」とは何なのか? その法的側面、歴史的側面についてちゃんとまとめてあるもの。
毎年、どう書いていいかわからないと言って、教室に持ち込まれる〝夏休みの宿題”の定番だ。
そんなときに、適当なものがあればいいのに、と思うのだ。
強いものが勝つ、弱肉強食の世の中でもいいではないですか?
弱肉強食の世の中では何が問題になりますか?
お互いに「人権」を認め合うという「価値」を共有することで、私たちは何を得ることができるでしょうか?
といった誘導はする。
そのうえで、現代社会において人権が問題になっているような例を、なるべく具体的な事例でいくつか挙げる。子どもが興味を持ちそうなものだけにしぼる。
→ 「人権」について、定義してもらう。
→ 具体的な例を一つ挙げて、それを「人権」の観点からまとめてもらう。
こっちの方はまだとりかかりやすそうだが、「人権」はナーバスな問題であるし、いろんな「人権」状況にちゃんと目配りした上で、それらを子ども目線からちゃんと構成できるかはちょっと難しいところだ。
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いやいやいやいや・・・
池上彰がいつの間にか出版してるよ。
少なくとも「人権」について。でも、本、高いな。「大型本」ってなんだ?
パースペクティブ編ではなくて、知識系の本だけど。
けど、世界観を築く、という意味では重要なシリーズなんではないかと思う。自分の周りにはこんな世界があって、そして自分はその世界のこの辺にいて、こんな感じで繋がってる──という、世界観。子どもにとって大切だろう。